焦って動いた先に、何があったかを思い出してみると

「焦るな、落ち着け」って、言われても無理なときがある。
心だけが先に走っていて、体が追いついていないような感覚。
頭ではわかってるのに、どうしても動かずにはいられない。
そんな日々を、私は何度も繰り返してきました。

動いた理由?
それはたぶん、「止まるのが怖かったから」なんです。

何かをしていないと、置いていかれる気がした。
何者にもなれていない自分に、焦燥感と無価値感がのしかかってきて、
「とりあえず動こう」って、自分に言い聞かせるしかなかった。

でも――動いても、何も変わらないことがある。
むしろ、空回りするほどに、自信を失っていった。

たとえば、私はかつて飲食店を何店舗も展開し、
メディアにも取り上げられ、
「勢いに乗ってる」と言われた時期がありました。

でも実のところ、その裏では、
“何がやりたいのか分からないまま動いていた”部分が大きかった。

「走ってる感じ」はあったけど、目的地が見えてなかった。
周りの期待に応えることに精一杯で、
“自分のための一歩”なんて、ほとんどなかったと思います。

動いてるのに、苦しい。
それはきっと、「行動の意味」が、自分の中で抜け落ちていたからです。

もちろん、行動することでしか得られないものは、たくさんあります。
ただ、そこに“想い”や“準備”が伴っていないと、
それは行動じゃなくて、ただの“逃避”や“演技”になることもある。

でもね。
その遠回りすらも、無駄にはならないんです。

焦って動いた経験があるから、今の私は「意味ある行動」の大切さを知っている。
空回りした日々があったからこそ、「自分の気持ちと向き合うこと」の重みを実感できるようになった。

だから、もし今のあなたが焦っていたとしても、それは決して間違いじゃない。
ただ、その一歩を踏み出す前に、少しだけ問いかけてみてほしい。

「これは、自分が“本当に望む場所”に近づく行動だろうか?」
「誰かの期待じゃなくて、自分の想いが詰まってるだろうか?」

たとえ少し立ち止まっても、
その問いに答えようとする時間は、前に進むための“準備”になる。
そして、その準備をしたうえでの行動は、きっとあなたを裏切らない。

私はそう信じています。


次は、「行動には、その人なりの“覚悟”が表れる」という話へと続いていきます。

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